インスリン抗体「コスミック」 糖尿病関連疾患 | 臨床検査薬(体外診断用医薬品・研究用試薬)の株式会社コスミック コーポレーション

1999年、インスリン抗体測定が1型糖尿病の診断の一助になることが「糖尿病の分類と診断基準に関する報告」の中で示され、統一した測定値を出す必要が出てきた。
インスリン抗体測定試薬の使用目的は以下の3点である。
1つめは、「インスリン投与量を追加する際の確認」である。インスリン製剤の改良、ヒト型インスリンの普及により、抗体産生の程度は大幅に改善されたが、大多数の患者はインスリン抗体陽性である。
2つめは、「インスリノーマと抗インスリン自己抗体を有する平田病（インスリン自己免疫症候群）との鑑別の補助」であり、低血糖が疑われる患者ではIRI(インスリン）の測定とともにインスリン抗体の測定を行う。平田病の報告は少ないが、低血糖の鑑別診断にはIRIの測定と同時にインスリン抗体のスクリーニングが必須であり、臨床に用いられている。
3つめとして、「1型糖尿病の診断補助」としての有用性がわかってきた。
1998年、WHO検討部会は、「GAD抗体、ICA（islet cell antibodies）、インスリン抗体の存在がタイプ1自己免疫性の糖尿病の特徴である」と「Provisional Report of a WHO Consultation」に示した。1999年、「糖尿病の分類と診断基準に関する報告」で、自己免疫性の1型糖尿病の診断にICA、GAD抗体、IA-2抗体及びインスリン抗体の存在が有力な情報を与えると記載している。1999年、Bingleyらは、3655名の1型糖尿病の一親等で非糖尿病の血清をスクリーニングしたところ、IA-2抗体、ICA、GAD抗体、インスリン抗体が4種類検出される人は、6年後80％、3種類または、2種類もつ人の50％が、インスリン依存性糖尿病になったことを示し、膵島に対する自己抗体は、尿中CPR（24時間）の低下や糖尿病の症状が見られる前から検出されることを示した。
自己免疫性の1型糖尿病の診断には、この4抗体（ICA、GAD抗体、IA-2抗体及びインスリン抗体）の測定が必要とされるが、このうち、ICAは正常ヒト膵島組織が必要なため、一般に普及するめどは立っていない。